2024/04/09 解決事例
親のするべき仕事
自転車に乗った小学校3年生の子と乗用車との衝突事故です。
子どもは、頭蓋骨を骨折し、脳に損傷が生じました。治療に3年を要し、高次脳機能障害の後遺症がのこって、裁判を起こしました。
脳というのは、動物の頭部にある神経の集まりですが、脳の損傷には、局所的な損傷と、全体的な損傷(びまん性損傷)とがあります(併存していることもあります)。
局所的な損傷では、症状が損傷した部位に由来する限定的な症状になり、びまん性損傷の場合は脳の機能の全体に及びます。
このケースでは、自賠責保険はびまん性損傷と認定しましたが、相手方保険会社は局所的損傷による限定的な症状に過ぎない、つまり、軽度であるとして争ってきました。
裁判では、相手方保険会社が依頼した専門医と、こちらが依頼した専門医との高度な医学論争があり、それと並行して、本人の現実のありのままの状況がどうなのかが争われました。
5年に渡る裁判の結果、こちらの主張がほとんど認められましたが、一つ言えることがあります。それは裁判官にも、人によっては偏見があるということです。
裁判というのは勝ち負けの戦いであり、甘いものではありませんが、時として、裁判官とも戦わなければなりません。
この裁判で良かった点を挙げると、こちらの依頼した専門医が非常に優秀な方で、かつ人格者だったことと、こどもの母親が事故後、子どもの様子について、毎日、日記をつけていたこと、また学校の成績簿やテストを全部保管していたことが挙げられます。
子どものこの種の事故については、私は日記を付けることを両親に指示しています。何冊になるか分かりませんが、それが最後に事実の重みとなると思います。