2024/06/12 解決事例
重要参考人
お骨の話です。
病院や施設に入院、入所している高齢者の入院費や施設料金が払われないまま、長期滞納となっている場合があります。
その多くは、本人の年金を親族が横領し、入院費や施設料金を払わないケースです。
地方公務員だった独身男性が、階段から落ちて頭を打ち、高次脳機能障害となって精神病院に入院していました。入院費が長期滞納となっており、家庭裁判所から、この人の成年後見人に選任されました。
年金から入院費を払えないはずはないのですが、親族は弟二人だけで、しかも、2人とも「反社会的勢力」で、本人の年金を横領していました。
後見人に選任されてから、すぐに年金の振込口座を変更し、病院に、滞納分を年金から長期分割で払う返済計画を出しました。
数年かけて入院費の返済を終え、別の病院に移ることとなりました。既に、意思疎通も出来ない状況で、転院先で、ある夜、亡くなりました。
この時点で、私が管理しているお金は、数百万に増えていました。
兄が亡くなったことを弟二人に手紙で知らせると、東京から上の弟が訪ねて来ました。火葬は済んでおり、この弟に遺骨を渡しました。
「兄が大変お世話になりました、ところで兄のお金は、いくらあるのでしょうか、それはいつもらえるのでしょうか。」と言います。
私は、相続人を再度確認してから支払うと告げ、その後、弟二人が頼んだ弁護士にお金を渡しました。
それから1年後のある日、新宿駅のコインロッカーから遺骨が出てきたということで、突然、新宿警察署から私に電話がありました。
遺骨の中に、私からの書面があったということです。 「死体遺棄罪」の条文の中に、実は「遺骨遺棄」もあります。私は死体遺棄事件の重要参考人になってしまいました。
経緯について説明すると、新宿警察署の刑事さんが東京から訪ねてきました。遺骨を渡した経緯と、弟の顔写真の確認をさせられ、供述調書を取られました。
この件では、病院も、葬儀社も、警察から長時間、取り調べを受け、大変な目に遭いました。
それはともかく、実の兄の遺骨をコインロッカーに放置するなどは許されないことです。 亡くなった人はどう思っているでしょうか。
ちなみに、自分が成年後見の状況になったときのために、契約で後見人を決めておく任意後見制度があります。将来が不安な方は、考えてみてはいかがでしょうか。