解決事例

2024/10/10 解決事例

駐車料金「85万」

コインパーキングの車の明け渡しの話です。

 

依頼者は市内でコインパーキングを経営しています。

繁華街のコインパーキングに1カ月近く軽自動車が停められていて、すでに料金が8万円を超えていました。

依頼者が車の所有者(女性)の住所・氏名を調べていたので、車両の撤去を求める通知を出しました。

しかし、返答が無いので調べてみると、住所となっているアパートには住んでおらず、行方も分かりませんでした。

依頼者と協議し、駐車スペースの土地の明け渡しと1日3800円の駐車料金の請求訴訟を起こしました。

裁判所は、行方が分からない場合は、公示送達という方法で訴状の送達をします。

しかし、やるだけやったけれど所在が分からなかったことを証明しないかぎり、公示送達をしてくれません。

そのため判決が下りるまで、3カ月かかりました。

その後、自動車の競売の申立をしました。

競売申立についても、公示送達です。

依頼を受けてから軽自動車の競売まで10カ月かかりました。

 

軽自動車は家財道具と同じように、執行官が差し押さえて、その場で競売をします。

購入者はいませんので、依頼者が購入しました。

執行官が、車内の確認をすると、毛布があり、スナックや飲物もありました。おそらく車内で寝泊まりしていたのだと思います。

競売が完了しましたが、この時点で、駐車料金は「85万」に達していました。

 

どうしてアパートを出て、車で寝泊まりすることになったのか、車を残してどこに行ったかは分かりませんが、車内に残っていた書類を見ると、地方にいる高校生の娘に毎月仕送りをしていたようです。

生きているといろいろなことが起こります。住み込みの仕事でも見つけてくれればいいと思いました。

 

© 斉田顕彰法律事務所